紫陽花忌の感想置き場

主にその時プレイしたゲームの感想等を書きます

金色ラブリッチェ&金色ラブリッチェGOLDEN TIME感想

※この記事には金色ラブリッチェ及び金色ラブリッチェGOLDEN TIMEのネタバレが含まれています。未プレイでネタバレを踏みたくないという方はブラウザバックを推奨します。

 

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金色ラブリッチェ及びそのファンディスクである金色ラブリッチェGOLDEN TIMEはSAGA PLANETSさんより発売されたPCゲームです。

サガプラさんのゲームははつゆきさくらはプレイ済みなのですが、それ以降のゲームには手を付けておらず久しぶりのプレイとなりました。初めは私が黒髪好きなのもありヒロインが全員金髪という謳い文句にはあまり惹かれなかったのですが、周りでプレイした人の評価が高かったこともありプレイしてみました。最近金恋無印の方はPS4でコンシューマー移植されたらしいですが、私がプレイしたのはPC版なのでその感想となります。

 

 構成

実を言うと金色ラブリッチェだけをプレイした時は面白かったは面白かったのですがこうして記事に感想をまとめようとは思いませんでした。と言うのも金恋無印におけるグランドシナリオ理亜ルートが他のヒロインのルート(シルヴィアを除く)との繋がりが弱く感じたからです。

理亜ルートはグランドに位置してるだけあり他のヒロインのルート全てをやらないとプレイできません。ただ理亜ルートはシルヴィと理亜が過去にした主人公に関する約束が主になっているのでシルヴィルートとの繋がりは強固でも他ルートとの接点が薄く、他のルートシナリオが独自の少し浮いたような存在に思えてしまったのです。

もちろんどのルートもシナリオそのものは面白く、そこは満足しているのですが、グランドルートがある以上もう少しシナリオの意義が欲しかったと感じました。

しかし、その消化不良な部分はファンディスクであるGOLDEN TIMEで解消されました。無印理亜ルートの最後に投げられた金のラブリッチェマーク、あれこそがヒロインのルートの意義であるとファンディスクによって気づかされたのです。

ファンディスクはアペンドとして無印の各ルートのアフターストーリーが収録されているのですがそれとは別に絢華とミナちゃんのルートシナリオも収録されています。

この絢華とミナちゃんのルートシナリオはてっきり無印の共通ルートの後の世界かと思っていたのですが、プレイしてみるとどうやら無印とは別の世界線の話らしいことが分かります。グリーンフラッシュの存在、主人公の保持してる記憶の差異、クリスマスの一連の流れ。どれも無印であり得そうな事柄ですが無印では語られていないことです。

では何故無印とは違う世界線での話にしたのか。私はこれを理亜を救うためだと考えています。無印の理亜ルートでは最後理亜は死んでしまいます。一方、ファンディスクのグランドシナリオであるマリアルートでは最後理亜は死を乗り越えて子供を無事出産します。この最後理亜が死を乗り越えた理由は色々考えられますが、グリーンフラッシュの存在が大きいと私は思います。

ファンディスクの世界線では幼少の頃のキャンプで主人公とシルヴィ、理亜の三人はグリーンフラッシュを目撃しています。そして、その後初日の出の時も同様の三人でグリーンフラッシュを目撃し、それが理亜が子供を産むことができる理由となりました。しかし、無印の方ではグリーンフラッシュの文字は出てきません。というのも無印の方ではグリーンフラッシュが起きていないのです。シルヴィアペンドにおいてシルヴィがグリーンフラッシュを見たことがないと言っているのでこれは間違いないです。何故、ファンディスクの世界ではグリーンフラッシュが起きたのか。この理由の鍵を握るのが金のラブリッチェマークだと私は思っています。

先にも軽く触れましたが無印グランドの最後では主人公が金のラブリッチェマークを入れたOrohoraの箱を浜松湖に投げ入れるシーンがあります。浜松湖は永遠に繋がっているという伝承があり、手紙が過去に届いたという伝説が残っています。私はこの無印グランドの最後に投げられた金のラブリッチェマークを受け取った世界がファンディスクの世界なのではないかと思っています。

無印では主人公が各ヒロインと金色の時間を過ごします。そして恐らくどのルートでも理亜は死んでしまっているのでしょう。その時主人公やヒロインが何を思うかは簡単に決めつけられるものではありません。しかし、どのヒロインも大なり小なり違いはあれど理亜と関わりのあった人たちです。そこに生きて欲しいという願いはあったと思います。そうした思いや主人公たちが過ごした金色の時間、その全ての象徴となっているのが無印グランドにおける金のラブリッチェマークだと思うのです。

そうして過去に渡りファンディスクの世界線に流れ着いた金のラブリッチェマークが起こした奇跡こそがグリーンフラッシュだと私は思っています。

 主人公と各ヒロインについて

主人公

最初は金色って概念がよく分かっていなかったので何言ってるんだこいつ状態だったのですが、主人公が黒髪ロング好きだと分かってからは一気にシンパシー感じましたね。ただこいつ過去の事忘れすぎでは。あの時シルヴィがお姫様名乗ってなかったからっていうのもあるんでしょうけど、それ抜きにしても結構インパクトある事柄なような……。

シルヴィア

 一番心の強さを持っている人だと感じました。無印とファンディスク共に一番心の中では葛藤があったキャラだと思います。ただそれを見せつけない笑顔、本編風に言うと格好つけてるということになるんでしょうが、そう言った意味では一番格好いいキャラだと思います。無印グランドでは泣いていないんですよね、主人公と同じくらい泣きたかったでしょうに。それがあるからこそファンディスクでのゴールデンタイムを見て涙を流すシーンともう涙はいらないというセリフが光るのですが。無印ヒロインの中では一番好きなキャラです。

玲奈

一番の癒しキャラでしたね。その性格柄、主人公を慰めたりするシーンが多いのですが一緒にこっちまで癒されてました。お節介キャラというのは結構うっとおしいキャラになりがちなのですが、玲奈はその辺のバランスが上手くできてて、ちょうどいいお節介キャラになっていたのがポイント高かったです。玲奈ルートは小さな世界の小さな幸せといった感じで個人的には無印ルートで一番好きなルートでした。

エルさん

the 苦労人。心労でいったら一番抱えてそうな気がします。まあエルさん的には王女を守るという以上に可愛い妹を傍で見守れるというのがあるので少しの心労くらいは何でもないことなのだとは思いますが。それでもたまにシルヴィもうちょっと手加減してあげてと思ってしまうことも。無印ではお堅いシーンが多かったせいかファンディスクでは結構ゆるゆるでしたね。死んだ空気を何とかするために玲奈の真似したシーンとか凄い好きです。

茜ちゃん

まず初めに金髪じゃないのにヒロインなのに驚きましたね。このゲーム、金髪しかヒロインいないと思ってたので。サブヒロインという枠組みなのかシナリオは大分短め。茜ちゃんルートで主人公が自分は金色を目指して失敗したこともあったけど、彼女は自分が金色に導こうという思いを抱いたのは結構好きでした。

理亜

無印、ファンディスク共にグランドシナリオのルートヒロイン。流石10年くらい主人公思い続けてるだけあって思いを打ち明けた後のデレは凄かったですね。まあ主人公が気付いていなかっただけで昔から主人公好き好きオーラは出してたらしいので本編中は相当頑張って押さえつけてたのが戻っただけなのでしょうが。難病を患っておりいつ死んでもおかしくないためその時その時を金色に生きた彼女、ファンディスクでは緑色を見たことと主人公、シルヴィの言もあり金色以外の生き方も考え始めた彼女。無印、ファンディスク共にこのゲームのテーマを背負っていたキャラなのだなと感じました。最高のコンディションと最高の場面でやるセッションは一番格好よくてまさしく金色だけど、良いとは言えないコンディションと何でもない場面でやるセッションもまた綺麗なのだと。無印で金色の肯定をしたからこその金色以外の肯定、それが素晴らしかったです。

ミナちゃん

絢華と共にファンディスクでヒロイン昇格した彼女。ルートシナリオはミナちゃん可愛かったですねえ。ミナちゃんの可愛さ全面出しといった感じで。恋を自覚するまでは中々もどかしかったですが、好きという感情を理解してからは結構グイグイ来ましたね。まさか、全校生徒相手に付き合う宣言をしにいくっていうのはいささか予想外ではありましたが、あの真面目さこそが彼女の美徳なのかなとも思います。

絢華

一番の問題児にして一番好きなキャラです。パワーワードのオンパレード、一番お気に入りボイスの数が多いです。入れる専用出口とは。もう寮のテラスで真面目な顔して座ってるCG見るだけで笑えてくる。とまあ、ネタ感強めな彼女ですが抱えているものは結構重め。自身の家に対してはどのキャラよりも一番真摯に向き合ってると感じました。理亜とも関わり合いが深く、理亜と一番長い時間を過ごし、マリア誕生の立役者といっても過言ではないでしょう。理亜の体調を気遣ったり、理亜がシルヴィと仲良さげにしてるのに嫉妬したりするシーンはついつい彼女に感情移入してしまいました。ルートの終わりの方、理亜が絢華に対して主人公と子供が出来てそれが女の子だったらアリアという名前を付けてくれと頼むシーンはとても好きです。絢華ルートはてっきり絢華が主人公が初恋の相手だと気付いてスタートするのかと思っていたのですが、まさかの最後までお互い気付かずに終わったのには驚きました。しかし、これは絢華が過去の思い出の中にいるイチではなく、今目の前にいる央路という存在を好きになったことの証左であり、シナリオライターは上手いことやったなと感心しました。その後アペンドで当初予想していた絢華が気付いてスタートってのをやってくれたのも大分評価が高いです。まあこちらの絢華はルート本編がましに思えるほどやばかったですが。終始笑いながらやってました。

総評

全体的に話の完成度が高く、やってて楽しいゲームでした。お話のテンポもよく、あまり中だるみを感じずに最後までプレイできたと思います。あと終わった後にチョコボール買いに行きたくなりました。今回のでサガプラさんのゲームにも改めて興味が出てきたので花咲ワークスプリングやフローラルフローラブあたりなんかにも機会があれば手を出してみたいなと思っています。